【移住して農業を始めたい】田舎で就農する為の手順とおさえておきたいポイント

田舎で就農する為の手順とおさえておきたいポイント 仕事

地方に移住して、田舎で新たに農業を始めたいという方も多くいらっしゃいます。
農業は田舎ならではの仕事でもあり、昨今では脱サラして「就農」を目的に移住を検討されている方も少なくありません。

しかし、田舎で新たに農業を始めるとなると乗り越えなければならない様々なハードルが存在していることも事実であり、決して簡単なことではありません。
実際に、田舎で農業を始めたのは良いが、自身のイメージと合わず短期間で撤退してしまうケースも見られます。

  • 事前に調べておかなければいけないことは?
  • 後悔しない為に、おさえておきたいポイントは?
  • 移住して田舎で農業を始める為の手順は?

この記事では、このような疑問や不安を解決する為の情報を詳しく分かりやすく説明していきます。
みなさん自身が理想とする移住生活に近づけるよう、少しでもお役に立てれば幸いです。

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農業を始める前におさえておきたいポイント

農業を始める前におさえておきたいポイント

「よしっ!農業を始めよう!」
と、思い立っていきなり始められるほど、農業は甘い世界ではありません。

脱サラして、「田舎でスローライフを実現」=「のんびり農業をする」といったイメージをお持ちの方もいらっしゃいますが、この考え方だと後々イメージした生活がおくれず後悔してしまう可能性が高いです。

ここでは、事前に調べて理解しておくべきことをテーマ別に説明していきます。

田舎で農業を始める2つの方法

田舎で農業を始める2つの方法

農業の始め方は、大きく分けて2種類です。

  • 独立就農
  • 雇用就農

では、それぞれどういったものなのか確認していきましょう。

独立就農

自身が経営者(個人事業主)となって、農業を営んでいきます。
農地の選定から、資金調達、必要な資材の準備、経営戦略(販路確保や出荷方法)まで全て自身で考えて準備していく必要があります。

雇用就農

農業法人等の会社に就職したうえで、農業を営んでいきます。
独立就農とは異なり、自身で考えて選択できる幅はかなり狭くなります。
ただし、給料面の安定や、将来の独立就農に向けた技術面の習得等のメリットも大きいです。

どちらが良い悪いという話ではありませんが、自身のスキルや知識、家族形態等を踏まえながら、自身に合った選択が必要になってきます。

また、将来的な独立を目指したうえで、最初は雇用就農を選択されるケースも多く、法人によっては独立就農をサポートしてもらえる場合もあります。

農業とはどんなものなのか理解を深める

農業とはどんなものなのか理解を深める

「農業」といっても、仕事の中身は数種類に分けられます。
一般的にイメージされる野菜や果物の栽培の仕事や、養豚、酪農に代表される畜産、植木業や造園業、そしてそれらの流通や販売に関わる仕事まで全て「農業の仕事」です。

総務省が定める「日本標準産業分類」においては、農業は5つの種類に分類されます。

  • 管理,補助的経済活動を行う事業所
  • 耕種農業
  • 畜産農業
  • 農業サービス業
  • 園芸サービス業

ここでは移住後の就農に多くの方がイメージする2つを詳しくご紹介させて頂くこととします。

耕種農業

稲作・畑作・ビニールハウス等の施設野菜・果樹等が当てはまります。
恐らく、みなさんのイメージに最も近いのは、この耕種農業になるのではないでしょうか。

畜産農業

酪農、養豚や養鶏といった、動物を飼育して出荷する仕事が当てはまります。
耕種農業と同様に、この畜産もなくてはならない農業であると言えます。

それぞれの地域環境によって、普及している農業は様々です。
耕種農業だけで絞って考えても、地域によってそれぞれ特色が異なってきます。

どんなにやりたい農業があっても、移住する地域でその農業ができない環境であれば意味がなくなってしまいます。

まずは、自身がイメージする農業の仕事、やってみたい農業の中身を具体的にすることから始めて、それがどの地域で活発に行われているのか、そもそも実施できるのかを調べていきましょう。

農家の1日のスケジュールを理解する

農家の1日のスケジュールを理解する

従事している仕事によっても多少異なりますが、基本的には早朝から日が暮れるまで体力勝負で働かなくてはいけません。

時間内容
6:00起床
7:00農地へ出発
7:30収穫作業等
9:00出荷準備と出荷作業
12:30昼食休憩
13:00土寄せ等の農地管理作業   
18:00翌日準備と後片付け
 19:00 帰宅
近所の野菜農家さんの1日のスケジュール

みなさんのイメージと比較してみて、いかがでしょうか。
イメージ通りの方もいれば、想像よりも忙しそうだと感じた方もいらっしゃるのではないでしょうか。

基本的には、早寝早起きの生活をベースに、日が暮れるまで働く為の体力が必要な仕事になります。

これから就農を目指している人は、この生活を理解したうえで農家を目指していきましょう。

農家の年収をイメージしておく

農家の年収をイメージしておく

これから、農業で生活をしていくとなると、気になってくるのは農家の年収です。
この年収を、事前にある程度頭に入れておかなければ、後々イメージした生活が送れなくなってしまうリスクが発生してしまいます。

農家の平均年収 約450万円

これは、日本人の平均年収とほぼ同等の金額となります。

しかし、農家の平均年収といっても、農業だけの儲けではない点には注目しておく必要があるでしょう。
その点を踏まえながら、農家の年収の内訳について触れていきます。

項目金額割合
農業所得(農業の儲け)113万円25%
農外所得(農業以外の兼業等の儲け)203万円45%
年金など135万円30%
合計約450万円100%
参考データ:農林水産省

この内訳で分かることは、農業所得よりも農外所得等の割合が高い農家が多いことが分かります。
つまり、懸念されることは、収入源を農業所得(農業の儲け)だけに頼って生活していくことは簡単なことではないということです。

独立就農を目指す方は、この平均年収を頭に入れつつ、収入を増やしていく為にどうしていくのか、明確な経営戦略が事前に必要になってきます。

各自治体の支援制度を情報収集

各自治体の支援制度を情報収集

農業を始めるにあたって、初期費用が必要になってきます。
特に、独立就農の場合、農地代や農機具、その他必要な資材等、始める前にかなり費用がかかってしまいます。

就農1年目に必要な費用の平均金額は569万円との調査結果も出ています。
※新規就農相談センター調べ

そこで、調べておきたいのが、農業者の助けとなる各種支援制度です。
支援制度にも、いくつか種類がありますので、ここでご紹介していきます。

国からの支援制度

農業次世代人材投資資金

次世代を担う農業者を志向する者に対して、就農前の研修を後押しする資金(準備型・2年以内)及び就農直後の経営確立を支援する資金(経営開始型・5年以内)を交付

準備型
都道府県などが認める道府県の農業大学校や先進農家などで研修を受ける就農希望者に、年間150万円(最長2年)を交付
※その他、詳細の要件あり

経営開始型
新たに農業経営を始める方に、年間最大150万円(最長5年間)を交付
※その他、詳細の要件あり

詳細については農林水産省HPをご確認ください。

青年等就農資金

青年等就農資金とは、市町村から青年等就農計画の認定をうけた認定新規就農者を対象にした無利子融資であり、実質無担保・無保証人となっています。

借入限度額
3700万円(特任限度額1億円)

償還期限
17年以内のうち据置期間は5年以内

詳細については日本政策金融公庫HPをご確認ください。

各自治体支援制度

地方創生移住支援事業

東京23区(在住者又は通勤者)から東京圏外へ移住し、移住支援事業を実施する都道府県が選定した中小企業等に就業した方又は起業支援金の交付決定を受けた方に都道府県・市町村が共同で交付金を支給する事業

交付額
100万円以内(単身60万円以内)で都道府県が設定する額

詳細については内閣官房・内閣府総合サイトをご確認ください。

JAグループの新規就農支援

農業近代化資金

JAバンクがおこなっている支援制度です。
農業にかかる費用に対しての融資を受けることができます。
※その他、詳細の要件あり

借入限度額
個人1800万円(知事特認2億円)

借入期間

認定農業者原則借入期間15年以内/うち据置期間7年以内
認定農業者以外の農業者原則借入期間15年以内/うち据置期間3年以内
認定新規就農者が
認定青年等就農計画に従って就農する場合
原則借入期間17年以内/うち据置期間5年以内

詳細についてはJAバンクHPをご確認ください。

各自治体独自の支援制度

その他、各自治体においても独自の支援制度を用意しているところもあります。
各地域毎の特性を活かした支援制度が多いので、一度チェックしてみる価値はあります。

情報収集の方法としては、全国新規就農相談センターHPから探すのがおすすめです。

自分に合う支援策を探してみてください。

田舎で農業を始める際の手順

事前の情報収集を終え、自身の考えがまとまったら、いよいよ具体的な行動に移していきましょう。
ここからは、実際に農業を始めていく手順について説明していきます。

資金の調達(独立就農の場合)

資金の調達(独立就農の場合)

就農1年目に必要な費用の平均金額は約569万円

新規就農相談センターの「2016年度新規就農者の就農実態調査」によると、就農1年目に必要な費用の平均は約569万円にもなるそうです。

また、1年目から成果が出ないことを想定しておく必要もある為、上記の金額+αで余裕を持っておくことも大切です。

この費用を、全て自身の貯蓄で補っていくのもとても大変なことです。

そこで、先ほど「おさえておくべきポイント」で説明した、各支援制度の利用を検討してみることをおすすめします。

各支援制度を上手に活用しながら、就農の準備をすすめていきましょう。

技術やノウハウの習得

技術やノウハウの習得

新規で就農を目指すといっても、全くの素人の状態で一から独立就農を始めていくのは、かなりハードルが高いと言えるでしょう。
地域や季節によって、マニュアル通りの方法が通用しないことも想定されます。

特に、初期費用も多くかかる中での、独立就農は精神的にも大きな負担がかかってしまいがちです。

農業について、知識、技術等のノウハウが学べる場所はたくさんあります。

大学や専門学校といったところで学ぶのもひとつの手段ではあります。
しかし、学費等の出費がかかってしまう点が大きなデメリットです。

ここで、おすすめしたいのは「働きながら学ぶ」ということです。
まずは、雇用就農で将来的な独立も視野に入れながら、知識・技術を学びつつ働いていくということが最も現実的な選択となるのではないでしょうか。

農機具や必要な物の調達

農機具や必要な物の調達

農機具や必要資材の調達は、農業をはじめるうえで必要不可欠です。
しかし、全ての機具や資材を購入してしまうと費用の圧迫に繋がります。

このような高額な費用を抑える方法として、中古機購入、レンタル、共同購入というところが挙げられます。

各地域の農協でも、農機具のレンタルをしてくれるところもありますので、初期費用を抑える方法として活用してみてはいかがでしょうか。

将来的な購入は視野に入れつつも、初期段階では費用を抑える為の工夫も大切なポイントになってきます。

働く場所(農地)を見つける

働く場所(農地)を見つける

まず、一番大切なことは、働く場所があるかどうかです。
ここでの、「働く場所」とは「農地」のことを指しています。

この「農地」の探し方は、独立就農の場合と、雇用就農の場合で異なってきます。
それぞれの探し方について、詳しく説明していきます。

独立就農の場合

STEP 0:具体的な移住先を決める
大前提として、具体的な移住先が決まっていなければ農地の探しようがありません。
まずは、移住先を確定させる行動から始めていきましょう。

移住・就農支援をおこなっている団体(※1)のHPから情報収集をしてみたり、問い合わせてみると効率的に移住先が絞りこめます。
また、「新・農業人フェア」などのイベントやセミナーにも多くの情報が集まり、農家の方の話しも直接聞ける機会も設けられていますので、気になる方は積極的に参加してみるのもおすすめです。

(※1)移住・就農支援をおこなっている主な団体
全国新規就農相談センター「農業をはじめる.JP」
一般社団法人 移住・交流推進機構「JOIN」

STEP1:農地の空きがあるのか確認
その地域に農地が空いているのかどうかの確認が必要になります。
各自治体の農業委員会等の相談窓口に問い合わせをしてみましょう。

ほとんどの場合、事前の情報収集段階で農地の空きの有無は、ご自身である程度想定できている状態だと思います。
しかし、最終確認の意味合いで各自治体に問い合わせをしておくのが無難といえるでしょう。

STEP2:農地の取得に必要な要件を確認(農地法)
農地を取得する場合には、求められる4つの要件があります。

  1. 農地の全てを効率的に利用すること(明確な営農計画)
  2. 必要な農作業に常時従事すること(原則、年間150日以上)
  3. 一定の面積を経営すること(原則50アール)
    ※地域によって異なる可能性もある為、各自治体に要確認
  4. 周辺の農地利用に支障がないこと

これらの4つの要件を満たさなければ、原則農地の取得が困難になります。
また、自治体によっては、追加要件が必要となる可能性もありますので覚えておきましょう。

農地取得の際の補足

各自治体の農業委員会を通さない、農地の貸し借りや譲渡は、基本的に禁止されています。
必ず、所定の手続きを踏んだうえで農地の取得を目指しましょう。

STEP3:農地の取得契約
STEP2の要件が、満たされていることが各自治体の農業委員会に認められれば、農地の取得が許可されます。
農地の取得は、基本的には「借りる」「買う」の2種類になります。
各自治体の農業委員会と、詳細の相談をしながら契約をすすめていきましょう。

雇用就農の場合

基本的には、通常の転職する手順と同様になります。
大手の求人サイト、農業求人に特化した求人サイトに登録して、地域別で求人を探してみましょう。

第一次産業ネット

最後に

最後に

「農業」は、田舎ならではの仕事としてイメージされがちです。
都会では味わえない、自然と共存しながらできる仕事というイメージも大きいでしょう。

そういった意味では、「田舎でのスローライフ」=「田舎で農業」という認識を持たれている方も少なくないのかもしれません。

しかし、実際に僕が田舎で暮らして感じたことは、とても大変な仕事だということです。
僕が朝出掛ける時には、すでに作業を始められており、そして夕方家に帰る際にも、まだ作業をされているという光景があたりまえのようになっています。

普段、美味しくいただいているお米や野菜、果物もそういった農家のみなさんの努力によって作られて食卓に運ばれていると考えると、より有り難く感じるものです。

田舎では、こういった第一次産業の担い手が、年々減少傾向にあるのも事実です。
これから、農業を始めようと考えられている方は貴重な存在といえるでしょう。

この記事が、少しでもそんなみなさんのお役に立てていれば幸いです。

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